紀州熊野を巡る 神内神社 巨樹に囲まれた圧巻の磐座

神内神社
(三重県南牟婁郡紀宝町神内958鎮座)

鳥居
熊野地方は、かつて熊野三山・熊野詣に代表される『浄土信仰』の中心地でした。
しかし、その根源は樹木や巨岩、清流などを御神体とする『原始信仰(自然崇拝)』から成っており、古代から脈々と引き継がれてきたように思います。
熊野の原始信仰の全てを短期間で巡ることは到底不可能なため、『巨岩~磐座』を御神体としたお社を中心に数カ所巡ってみました。

参道
神内神社(こうのうちじんじゃ)は、熊野川の先の北麓に坐するお社で、巨大な岩壁を御神体とするお社。
境内は鬱蒼とした社叢に囲まれていて、年輪を重ねた巨樹が多く自生しており、参道を歩むだけでも心が洗われるような気分になる。

参道脇には『神武天皇御社』と掘られた社標、その先には岩窟が。

佐倉宗吾宮
鳥居を潜って十六メートルすすんだ右手山側に、大きな岩窟(拾石窟)があり、神武天皇や明治天皇をお祀りし、その脇の岩屋に佐倉宗吾宮がある。
創祀時期は不明だが、おそらく徳川時代初期の重税に苦しめられた農民を救うために、自分だけはなく家族も極刑になることを覚悟の上で直訴におよんだ宗吾を神として敬い、大飢饉による餓えと年貢の取り立てに苦しめられるなかで、重税の軽減を願って、嘉永年間に祀られたものと思われる。
(境内案内板より要約)

参道沿いの巨岩
さらに進んでいくと、苔にむした巨岩が岐神のように参道を塞いでいる。

境内
その巨岩を真っ二つに引き裂いて作られたような石段を登っていくと、真新しい神門が建っている。
本神社は「子安の宮」とも呼ばれ、安産祈願なのか神門の脇には数多くのよだれ掛けが奉納されていた。
尚、石段を下っていくと神内川の川岸に下りることができるので、清流で一旦身を清め直して再び石段を登っていざ参拝。

鈴門、その先には御神体の巨岩が
神内神社(子安神社)(こうのうちじんじゃ・こやすじんじゃ)

所在地 紀宝町神内近石(ちかいし)九五八番地
祭神
天照大神(あまてらすおおみかみ) 
天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)
彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)
鵜草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)
創立 「明細帳」に不詳とあり、棟札には天保七年二月再建とある。

磐座
由緒
「明細書」に「当社の義は近石と申すところに逢初森(あいそめのもり)というのがあり、そこに伊弉諾尊(イザナギノミコト)、伊弉冉尊(イザナギノミコト)天降らせ一女三男を生み給う、この神を産土神社と崇め奉る、よってこの村の名を神皇地(こうのち)と称す。
いつの頃よりか神内村(こうのうちむら)と改むと言い伝う」とあり。明治三十九年十二月二十五日、三重県告示第380号を以って神饌幣 料供進社に指定される。
社殿は自然成岩窟にして空間六尺(約1.8メートル)四方あり、境内六反八畝十歩。
近郷の人、子安の神、安産の神として参詣するもの多い。また豊漁の神として近隣の漁師の信仰厚い。
(境内案内板より)

瑞垣に囲まれた御神体の磐座。
磐座の間からは日の神(太陽)が差していて実に神々しい。
石英粗面岩(熊野酸性岩)の岩壁といえば、橋杭岩や虫喰岩も同様。
きっと1400万年前の火成活動によって出現したのであろう。

尚、熊野川の南岸に坐する神倉神社の御神体と同様に『ゴトビキ岩』と呼ばれているらしい。

そして、本神社は巨岩だけではない。
社域の樹叢もまた年輪を感じる巨木が数多く生い茂っており、中でもクスノキは圧巻。

御神木の巨楠

神内神社樹叢(こうのうちじんじゃじゅそう)
所在地 紀宝町神内近石(ちかいし)九五八番地

神内神社は、石英粗面岩(熊野酸性岩)の岸壁をご神体として祭った原始宗教の名残りのもので、多数の水蝕洞穴があり岩面には着生植物が多い。神社の境内には着生植物、シダ植物を含めて約300種の植物が繁茂している。
この森すべての植物を保護することは言うまでもないが特に保護保存に心がけねばならないものをあげれば、木本類ではクスノキ(巨木)、ホルトノキ、イヌマキ、ミサオノキ、ヤマモガシ、アラカシ、タカオ、カエデ、ヤマビワ、イスノキ、オガタマノキ、 カンザブロウノキ、イヌガシ、ナギ、モッコク、シダ植物では、キクシノブ、ナンカクラン、タカノハウラボシ等は珍しく貴重なものである。

巨楠のコブから生えた若い枝。
木の力強い生命力を感じることができる。

境内
境内には到る所に苔が生していて、とても幽玄な雰囲気が漂っていて、正に『神域』の佇まい。
古代から続く自然信仰が色濃く残る『神域』に巡りあえたことにただただ感謝。

次回は神話の地~熊野灘の大自然でも。

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